仮想現実に関するメモ書きその1
Evernoteがわりにメモ書き。
森博嗣「すべてがFになる」より。
萌絵「仮想現実の技術の問題点は何だとお考えですか?」
真賀田博士「現在は、主として三つの障害があります。
第一に、処理系のハード的な力不足、第二に、人間にそれを受け入れる用意があるのかと言う道徳的な問題、そして、第三に、受け入れたあとに現れる生物的な未知の影響です。
第一の問題は、着実に解決されつつあります。私がこの技術に関わって、既に十年になりますが、コンピュータのハード面での容量は飛躍的にゴールに近づいています。
第二の問題は、深刻ですが、それでも、さきほどの話と同様に、生まれながらにバーチャル・リアリティの環境で育つ世代には受け入れられるでしょう。人間はプログラムより柔軟ですからね。人間のリアクションの問題も、ジェネレーションが替われば解決するでしょう。
第三の問題は、どんな変革にも必ず現れる精神的・肉体的症候ですからね。これは、私の分野ではありませんし、私はそういった点に興味はありません。はっきりいえば、些末な問題です」